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能登・七尾の能登カキを全国へ! “出張カキ小屋だるま”が仲間と出店場所募集

出張カキ小屋だるま

更新日:2025年9月19日

豊かな海と山に育まれた能登カキを、バーベキュースタイルで楽しむ

新鮮な能登ガキとビールで、乾杯!

 “出張カキ小屋だるま”の疋田 匡(ひきた・ただし)です。能登・七尾市で採れた能登カキを中心に、能登の新鮮な海産物をバーベキュースタイルで焼いて楽しめる屋台として、さまざまな場所で出店しています。現在は、JR金沢駅近くのネオ屋台ストリート屋台村で、2025年10月まで営業しています。

夜に明かりがともる、ネオストリート屋台村の様子

 能登カキの特徴は、塩味があって、濃厚な味わいがあること。能登カキを育てている七尾湾は、山からの恵みが海に流れ込む自然豊かな場所。その栄養分を吸収して育つ能登カキは芳醇な味わいです。サイズは小ぶりではありますが、ぎゅっと凝縮された旨味が抜群なんです。  出張カキ小屋だるまは、能登カキの魅力を伝えるために、商業施設など全国のさまざまな場所に出張して出店しています。一度能登カキを食べたお客さんは、みんなその魅力に夢中になります。「能登カキを食べたい!」と、リピートで来てくださるお客さんが多いんです。

能登名産のフグをから揚げにしたり、各種フライものや能登の地酒など多彩なメニューも魅力的

「能登カキで、カキ小屋をやりたい!」と、生産者さんを訪ねた日々

 広島や南三陸など、さまざまな地域でブランドもののカキが養殖されていますが、能登カキは知る人ぞ知るカキ。もともと能登を中心に、富山・新潟などで愛され続けてきました。

自然豊かな七尾湾で育つ、能登カキ

 僕が能登カキに出会ったのは、8年以上前のこと。もともと他の飲食店などもやっていたのですが、とある仕事で、七尾のまちづくりセンターの職員さんにお会いして、「能登にもカキがあるんだよ」と教えてもらったんです。それまで能登カキを知らなかったので、驚きました。そして「能登カキでカキ小屋をやりたい」と思い、生産者に「仕入れさせてください」とお願いしに行きました。  でも、最初はなかなか一緒に商売をさせてもらえなかったんです。生産者の方は、自分たちの育てる能登カキに誇りを持っています。だから、信頼して出荷してもらう関係性を築くまで、時間がかかりました。「能登カキを広めたいんです」と伝えても「広めないでいい」と断られてしまうほど。それでも、どうしてもあきらめきれず、生産者のもとへ通い続ける日々が続きました。

能登カキの収穫の様子

 1年ほどたったある日、「コーヒーでも飲むか」と生産者さんが声をかけてくれたんです。そこから、カキを収穫する船に乗せてもらって、どんな場所で能登カキが養殖されているのか、生産者の方の想いを知ったうえで、出荷していただけるようになりました。それ以来、出張カキ小屋として、全国のさまざまな場所に出店して、能登カキの魅力を発信し続けています。

被災して、自宅の片付けも終わらないなか「できることをやろう」とカキを出荷してくれた

 2024年1月1日の震災で、能登カキの生産者さんも甚大な被害を受けました。自宅が震災で崩壊したり、津波で船がひっくり返ったり。機械も壊れて、カキを養殖するカキ棚が流されて、とても大変な状況だったようです。  1月4日に、愛知県でカキ小屋を開催予定だったのですが、事業者さんから「とてもじゃないけど出荷できる状態ではない。避難している最中だ」と連絡があって、何も言えないなと思いましたね。「何かできることはないか」と能登に行こうと思ったんですが、震災直後は現地に入ることができず、心苦しいまま、電話でのやり取りが続きました。

生産者さんから疋田さんに送られてきた被害の様子 撮影日:2024年1月ごろ

 震災の10日後に、生産者さんから「カキを出荷できるよ」と電話がかかってきました。自宅の片付けもままならない状態のなか「前向きになるために、やれることからやっていこう」と流されたカキ棚を戻して、出荷できる段階まで持ってきてくれたんです。「とりあえず、ちょっと協力してくれるか」という事業者さんの言葉に「もちろんです!」と答えました。  出荷してくれた能登カキで、募金活動をしながらカキ小屋を営業しました。「能登を応援したい」という気持ちで来てくれるお客さんが多かったです。カキは苦手だけれど、ホタテ1枚だけでも食べて募金をしてくれるお客さんとか、想いを持った方がたくさん来てくれて、人の温かさを実感しましたね。

能登を応援したいという多くのお客さんで賑わう出張カキ小屋だるま

能登カキをブランド化して、能登を応援したい!

 僕の目標は、能登カキを全国に名の知れたブランドにすること。能登カキにほれ込んでいるんです。いろんな地域で開催するたびに、お客さんも「能登カキがいちばんうまいね」と言ってくれる。カキ小屋を通じて、生産者さんたちが心を込めて育てた能登カキの知名度をもっと上げたいと思っています。
 能登カキをブランド化することで、能登半島の復興に寄与したい。もともと能登半島は、コロナ禍で観光客も減ってしまって、やっと回復してきたところに今回の震災が起きてしまいました。  現在でも、観光客は以前ほど戻ってきていません。地元の方に聞いた話では、輪島では震災後に解体業者の方が来ていたときは、にぎやかで景気も良かったらしいんですが、解体や復旧工事が進み撤収する業者さんも少なくない現在では、人が減り閑散としている場所もあると聞きました。  能登の美味しいものを食べてもらって、能登の観光を盛り上げていきたい。そんな信念を持って、能登カキの出張カキ小屋をもっと増やしていきたいと思っています。

疋田さんの着ているTシャツには、能登カキのロゴマークが

カキ小屋を拡げる仲間&出店場所を募集しています

【仲間を募集しています】  全国各地に能登カキの名前を知ってもらえるように、いろんな場所にカキ小屋を出店していきたいと思っています。そのために仲間を募集しています。  イベントで出会ったご縁で、若き飲食店経営者である池本さんが「カキ小屋をやりたい!」とご連絡をくださいました。能登に縁があり、能登の復興への思いもあり、なにより能登カキの可能性を信じてくれる彼と一緒に働きながら、ノウハウをお伝えしています。カキ小屋をやってみたいという方がいらっしゃいましたら、ご連絡をいただければと思っています。

「能登にはいっぱい美味しいものがあるんです」と語ってくれた池本さん。現在は、出張カキ小屋だるまの隣で、能登牛などを扱う屋台を営業しながら、カキ小屋のノウハウを学んでいます

【カキ小屋を出店する場所を探しています】  出張カキ小屋の屋台を出店する場所を探しています。JR金沢駅近くのネオ屋台ストリート屋台村での出店は今年で4年目ですが、新しい建物が建つことになり10月いっぱいで閉鎖が決まりました。11月からは、大阪の福島でカキ小屋を出店する予定です。  商業施設などの駐車場など、カキ小屋の屋台が出店できる場所の情報をご存じの方がいらっしゃいましたら、ご連絡をいただけるとありがたいです。 【能登ガキを食べてみてください】  塩味があり、旨味が凝縮された能登カキは、一度食べればその虜になること間違いなしです。出張カキ小屋だるまは、今後もさまざまな場所で出店していきます。ぜひ足を運んでくださいね。
*出店情報 期間:2025年11月中旬~12月末まで 住所:大阪市福島区福島7丁目ふくまる通りガード下

事業者プロフィール

出張カキ小屋だるま

代表者:疋田 匡

取材後記

 出張カキ小屋だるまで「能登カキ」をいただきました。一口食べて、ふわっと口の中に広がる豊かな海の味にびっくり! 「こんなカキ食べたことない!」と思わず叫んでしまいました。醤油やポン酢などの調味料もほとんどいらない、自然な塩味と濃厚な旨味を持つ能登カキ。その味わいの大ファンになりました。  取材は営業前の昼間に伺いましたが、「毎日お祭りみたいで楽しいんです」と疋田さんが教えてくれた賑やかな様子を見てみたいと、あらためて夜のネオストリート屋台村へ。提灯の光のもとで、みんなが笑顔で楽しそうに、ビール片手に能登カキを囲んでいました。  私は、能登カキと能登のイカをバーベキュースタイルで注文! 柔らかく臭みのないイカ焼きも最高で、ビールがすすみます。能登の海の幸は、ほんとうに美味しいなあ。この幸福な時間をぜひ色んな方に体感してほしいです。

荒田詩乃(あらた・しの)

 埼玉県在住。自治体職員、NPO法人スタッフ、公共ホール職員などを経て、アート・工芸などの分野を中心にフリーランスの編集・ライターとして活動。畑を耕しており、農業・民俗学にも関心を持っています。今回能登半島に初めて伺い、豊かな文化が根付いている場所なのだと強く感じました。近いうちに、また能登に伺いたいと思っています。

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